日系3世のLさんとは時々ランチしているのですがある日の事、 「ブラジルではインフレなので、現金持っていても価値が下がるばかりだからマンションでも買おうかな。今度のランチの後一緒に見てみませんか」というので、私も多少興味があったので、「じゃ、そのアパートを貸してもらってしばらくブラジルに住もうかな」なんて冗談言いながら、「では次回はこのあたりで売りに出しているマンションが2件ほどあるので覗いてみましょう」ということになりました。 Lさんはいくつかの事業を経営している実業家で、昨今のコロナ禍でかなりダメージを受けているようではありますが、基本的にはお金持ちで、余剰資金が十分あるのでしょう。日本ではなぜか(お金をじゃぶじゃぶ市中に流しているのに)インフレにならないけど、ブラジルでは年5-10%ぐらい物価が上昇しています。年10%もインフレが続けば、7年もすれば貨幣価値は半分になってしまうわけですから、(預金利息はあるにしても)確かに現金でもっているのは賢明ではないということになります。
モデルルーム展示場は、私のアパートから歩いて4-5分のところにあります。どちらもコロナ前にはレストランなどがあった所です。このあたりはもう空いている土地などほとんどありませんから、不動産屋にとってはコロナ禍はむしろプラスに働いたのかも知れません。 一件目は元”アメリカンレストラン”という名前だったか、入ったことはなかったですが、大きなファミレスのような店があった場所です。 モデルルーム展示場は、日本のものと大差ありません。ただ、日本の場合は建設用地とは別の場所に展示場がある場合が多いですが、こちらでは建設予定地にあり、ある程度売れたら(例えば50%とか)、展示場を閉めて建設を始めるとか。 建物の概要を聞いてから、モデルルームへご案内。1DKの33平米とワンルームの23平米の2種類だけです。広大な国土を持つブラジルでなんとたったの23平米。コロナのためにお世話になった日本のアパホテル両国でさえ、ツインルームであれば21平米ほどありますから、ホテルの一室を買うようなものです。 部屋に入ってみるとベッドが無いので、「どこに寝るんですか?」と聞くと、なんとベッドが天井に収納されていて、電動で降りて来る仕組みです。恐れ入りました。 ベッドを天井に上げても、部屋にはソファーと小さいテーブルが置くくらいが精いっぱい。これでお値段約1,500万円ほど。こんな部屋買う人いるんだろうか、と売れ行きを聞いてみると40%ぐらい売れたとか。Lさんによると、買ってから賃貸に出すにしても、2,000レアル(4万円)も取れるかどうか。Lさんも驚いたというか、呆れたというか。33平米の方もWベッドが部屋のほどんどを占領してしまい、食事する場所も満足に確保できないような、まさに寝るだけの部屋という感じでした。
それでも折角だからということで、すぐ近くのもう一件の展示場へ。 こちらも外見は似たようなものでしたが、同じ建物の上半分と下半分が全く違う種類の建物といった構造で、入口も別になっています。すなわち下半分は先ほどの部屋と似たような35平米ほどの部屋で、上の方はなんと250平米もの広さの”マンション”です。 この”マンション”のお値段はおよそ1億5千万円ほど。まあ広さの違いからは妥当な値段かと思いますが、同じ建物のなかでこの違いはなんなんだ。日本でも一つのマンションでワンルームタイプがあるかと思えば3LDKぐらいまである物件もあるかも知れませんが、いくら入口が違うと言っても7倍強の違いとは!これもブラジルらしいところなんでしょうか。