書道の筆は長く使っている間に墨が付け根のあたりに溜まってきて、筆先が割れてしまいます。墨の原料である煤とそれをまとめる役目の膠(にかわ=接着剤のようなもの)が墨とともに筆の付け根あたりに溜まって、一点にまとまるべき筆先が2本や3本に割れてしまい、結果全く見栄えがしない書になってしまいます。 擦る墨ではなく、墨汁を使うと膠の代わりの合成樹脂などが使われており、さらに割れる傾向が強いとか。 それを防ぐには、使った後は良く洗って、墨(と膠)を洗いながすことなのですが、どのように洗ったら効果的なのかを先生や以前日本の書道店なので相談したところ、 「指で軽くもみほぐすように、良く洗ってください」とか「筆の部分を摘まんで捻じってもいいですから、溜まった墨を出すようにしてください」などというアドバイスでしたので、その方法を忠実に守っていたのですが、しばらくすると墨が溜まってしまうのかまた先が割れてしまって悩んでおりました。 「先生はその方法で筆先が割れることないですか?」と聞いても、 「大丈夫ですよ。使おうと思えば10年でも使えますよ」ほんとかなー。 書を趣味とする他の友人に聞いてみるとやはり同じ悩みを抱えているようで、 「そうなんですよ、半年も使っていると奥に溜まった墨が取れなくなって使い物にならないので、買い替えてますよ。私などもう10本近くも買い替えていますが、古い筆ががこんなに。でも私捨てられないんです・・・」 「やっぱ、そうですか。そうですよね」 ブラジルでは200万人以上も日系人がいるので、SPでも筆を売っている店はないことはないですが、品数は限られているし、高いしでそう頻繁に買い替えるわけにも行きません。 専門の書道店や先生が言っていることだから、これまでなんの疑いも持たなかったのですが、ふと同じ悩みを抱えている人がいるに違いないと、”筆先の割れを防ぐには”などとインターネットで検索してみると、あるある情報満載です。ほんとインターネットはありがたし。 結論的にはお湯で洗うことがポイントのようです。膠(とそれに付着している墨)はお湯に溶けやすいということで、その投稿者は時には熱湯に近いお湯で洗うこともあるとか。 早速お風呂よりやや熱めぐらいのお湯で洗ってみると落ちる落ちる。瞬く間にお湯の入った容器が真っ黒になりました。2-3回洗い、もうお湯が濁らないかなと思われてから、さらに穂先だけをペットボトルのお湯に浸けておくと(これも投稿者のおススメの方法)、30分もしないうちにお湯が真っ黒になるぐらい墨が出て来てくれました。 これにはちょっと感動。これほど墨が筆の奥に溜まっていたと思うと、筆先が割れるのも無理ないわな、とこれで筆が再生できたに違いないと、うれしくなってしまいました。 翌日使ってみると、断然違いました。やっぱ弘法筆を選ぶんじゃないだろうか。弘法には遠く及ばない私のような人は尚のこと。でもこの問題は高価なものが良いか、廉価でも良いかについては同じ事だと思われます。